朝日新聞 2001年5月9日
ドイツ人エコノミストのリチャード・ヴェルナーさん(34)が、日本銀行の客員研究員時代の行内インタビューなどをもとに、日銀の金融政策の裏舞台を探った「円の支配者」(草思社)を書き上げた。日銀のひと握りの生え抜き首脳が、経済構造の改革を目指して、バブル前後の金融政策をあえてゆがめた「支配者」だった、とする刺激的な内容だ。
辞意が取りざたされる速水優・現総裁の後任候補に、有力視される福井俊彦前副総裁もその系譜上の1人、8日の出版会見で指摘。「バブル生成とその後の不況長期化を招いた福井氏で本当にいいのか。金融の量的緩和を強力に進めて、失業率を減らそうという人がなるべきだ」と持論を強調した。