読売新聞 2001年6月4日
日銀金融政策の意図を探る
ポイントは------
著者は滞日10年を越すドイツ人エコノミストで、日銀金融研究所の客員研究員を務めた経歴を持つ。その著者は、バブル崩壊後の長期にわたる不況の原因を、量的緩和に消極的だった日銀の金融政策に求め、しかも、日銀は無策だったわけではないと説く。 著者の描く"真相"は以下のようになる。日本経済にアメリカ型市場主義を導入することは日銀の長期戦略だった。そうなれば大蔵省(現財務省)の影響力も弱まるからだ。陰の「円の支配者」は日銀中枢にいる------。 うがち過ぎの感もあるが、「日銀の独立性」を考え直すうえで参考になる発想が含まれているかもしれない。
著者の一言
不況を脱することができない日本は、安全・平等などの利点を構造改革をする必要があるというのが国民的合意になってしまっているが、本当にそうなのか疑問だ。現在の不況は、日銀が資金供給量を増やすという簡単な解決策を採らなかっただけだ。今後の日銀の政策次第では、日本は再び復活できるだろう。(プロフィット・リサーチセンター取締役)