調査手法



1.中央銀行は最良の手法を公表していない

  ほとんどのエコノミストや投資家は金利分析に固執しすぎている。空しいことに、金利というのは、中央銀行が経済をコントロールしていく際に使う、第2の道具にすぎない。中央銀行の主たる手法となっているのが、我々独自のアプローチの基礎をなすものと同じなのである。それは、中央銀行により投入され使用されながら発展を遂げてきたものであり、他のモデルと比較して統計上でも優れている。機密保持を前提に、投資家の皆様も、中央銀行と同じように経済を読むことができるようになるのだ。

2.リクイディティ(信用創造量)が鍵となる

  簡単に言ってしまえば、通貨が経済を動かしているといえる。しかし、正確に測定されなくてはいけない。マネタリストのアプローチの仕方は信用できるものではなかった。なぜなら、マネタリストは実際には預金供給量の尺度にすぎない、すなわちM1、M2等のような預金総額にすぎないものを「通貨供給量」として公表している中央銀行の計略に幻惑されていたからである。純新規経済活動というのは、純新規購買力が経済上効果をもつに到った場合にのみ起こり得るものである。その純新規購買力は中央銀行及び民間銀行によってのみ創造される(「信用創造」のプロセス)。我々独自のリクイディティー指数を使い、信用創造量を測定することにより、我々は実在するいかなる国のGDP成長率や為替相場、資本の流れ及び資産価値を説明したり予測したりできるのである。

3.トップダウン方式

  多くの予測が間違いを犯すのは、ミクロ分析において狭い焦点にこだわることから生じている(これは新古典派経済学によって助長されたものである)。ミクロ分析は個々の株式の選択においては重要な意味をもつが、それではマーケットの転換点を見抜くことができない。なぜなら、個々における重要な相互作用が無視され単なる部分を継ぎ足していっても全体にはならないという合成の誤謬が存在するからである。例を挙げてみよう。古典的な学説は、為替相場や資本の移動が金利格差によって決定されると主張する。これは一つの「典型的な」投資家のモデルの結論である。しかし、経験則ではこれを実効性ある理論とは見なすことができない。理由は単純なことである。一人の投資家にとってはその結論で当てはまるかもしれないが、全ての投資家にとっては金利というのは外生変数ではなく、彼らの集団的な行動の結果だからである。我々のトップ・ダウン分析はこれをとらえていくものである。